40代 女性 会社員
症状:生理痛(月経困難症)、体の重だるさ、浮腫み、めまい
既往歴
2020年10月 子宮内膜症の手術
現病歴
子宮筋腫があるがとくに治療はせず、定期的に検査を行い経過観察中。鉄欠乏性貧血もあるがサプリメントが合わず服用を中断。
毎月の月経時に下腹部の痛みと腹部の横側に張りを感じる。
来院される半年前に子宮内膜症の手術を受けており、手術後から月経時の痛みが増加したように感じているよう。
できれば早い段階で妊娠も希望されているため、鍼治療は初めてで怖いが知り合いに月経困難症の治療も妊娠に向けた体作りのためにも鍼治療をやってみたらどうかと提案され、ハリアップ丸ビル院に来院された。
鑑別診断
初診は、身体が重だるく、首肩こりが酷くなると頭痛と吐き気を伴うため、仕事帰りに丸ビル院に来院。
月経前に下腹部痛が酷くなることが多い。身体が重だるく、月経過多で、貧血、めまいを伴う。
浮腫みが酷く、冷えもあり、腹部にも張り感が顕著なため、病院で一度検査をすることを勧め、後日検査を行ったところ、子宮筋腫と診断される。
月経困難症には、特に器質的な原因のない機能性月経困難症と子宮筋腫や子宮内膜症等、病が原因で引き起こされる機能的月経困難症に分類されるが、こちらの患者は機能的月経困難症と判断した。
治療法
子宮筋腫が原因で月経痛が酷くなることが考えられる。筋腫が大きくなることで、内臓や骨盤が圧迫され、下腹部痛、腰痛が増強することもある。
首回りから肩部、腰部と気血を促しながらマッサージ・単刺を行ったあと、骨盤周りの冷えが顕著だったので、次髎(じりょう)、中髎(ちゅうりょう)に置鍼。赤外線で温めながら行った。
体循環の改善のため、三陰交(さんいんこう)、陰陵泉(いんりょうせん)、陽陵泉(ようりょうせん)に刺鍼し水分調整を。
鉄欠乏性貧血でめまいも伴うので、水分8すいぶん)、血海(けっかい)に刺鍼した。
ホルモンバランスを整えるため、中枢神経に対する刺激も重要と考え、瘂門(あもん)、風池(ふうち)、大椎(だいつい)にも刺鍼した。
施術後に状態を確認すると、下腹部痛が消失したことを自覚され「痛みがなくなってる。鍼灸治療ってすごいですね。」と話してくださいました。
鍼灸治療は、月経痛だけでなく月経不順、更年期障害や婦人科の症状にも効果があること、いま痛みを感じなくても月経周期に合わせた治療で体は変化することをお伝えし、治療計画を共有。
冷えにつながる甘いものを控えてもらい、下腹部、骨盤周りを冷やさないよう気をつけ、レバーやほうれん草等、鉄分は食材から補給していただくよう指導した。