女性 30代 会社員
症状:右突発性難聴
現病歴
ある時期から耳が塞がれるような感覚がでてきた。水の中に潜っているような感覚でなんか変だなと思い、耳鼻科を受診。低音が聞こえづらくなっていて突発性難聴と診断された。
一定期間、薬を内服したがあまり変化はなく、3日後に再度受診したが聴力検査は前と同じ数値だった。
低音が聞こえないことよりも耳が詰まる感覚が続いていて、仕事に集中できないのがどうにかならないかと悩んでいた。
突発性難聴についてネットで調べたところ、鍼灸で改善したと事例が紹介されている記事を見つけ、普段から利用している当院に連絡をされた。
鑑別診断
特に右側が聞こえづらく耳の詰まり感も強い。
特定の原因は不明だが、仕事が忙しくストレスを発散できずため込んでしまったことにより発症したと思われる。
もともと首や肩のこりが強く、耳周囲の血流も滞っていたのも原因になりうると考え、ストレスなどで自律神経が乱れていると判断し脊際にアプローチすること、首肩のこりを解消し耳や頭の血流を促すこと、耳局所のツボを使い症状改善を目的に鍼治療を進めることを患者と共有。
治療法
まず、全身調整もかねて自律神経へアプローチ。脊際に刺鍼をし直接自律神経を刺激した。反応点は長めに置鍼してリラックスしてもらう。
上記と合わせて後頭隆起周辺の硬結や反応点に単刺し、風池(ふうち)の反応が強かったため置鍼を。
上大椎(かみだいつい)や膏肓(こうこう)など、体にストレスがかかったときに表れるツボにも単刺し、肩全体の血流改善を促した。
そのあと、耳周辺のマッサージをして血流を良くしてから翳風(えいふう)・耳門(じもん)など耳周辺の反応点に刺鍼し、顎関節のあたりに筋緊張がみられたので耳門に置鍼した。
治療後、首肩のこりは改善し首が動かしやすくなった。首肩の凝りが解消し血流が良くなったため、耳の閉塞感も軽減。
症状が完全になくなったわけではないので2日後の来院を提案。耳の詰まり感は少し戻ったものの以前ほど違和感はない。
2回目の鍼治療は前回よりも耳周りに時間をかけて施術し、1回目よりも閉塞感は軽減した。その後も1週間も間隔は空けず来院してもらい、病院で再度聴力検査をしたところ以前より低音が聞こえるようになっていた。
現在は、良い状態を維持するため、月に1度の来院で治療を継続されている。
生活指導
血流を良くし早期改善を図るため、1日2回程度の耳のマッサージ、耳を掴んで揉んだりぐるぐる回すこと
首肩の筋肉に関してもなるべく同じ姿勢を続けないように心がけて、いろんな方向に動かしてもらうことを指導した。