男性 40代 会社員
症状:不眠
現病歴
寝ていても途中で起きてしまうことが多く、熟睡感がなく眠りが浅い感じがする。
日中の仕事にも影響するため、体のリズムを整えたいとハリアップに来院された。
鑑別診断
目、鼻、耳の疾患によって不眠症を招く場合もあるが、患者はパソコン業務で目の疲れはあるが、鼻、耳の疾患はなし。親しい方のご不幸や職場環境の変化、外の騒音、人間関係の軋轢もない。
ただ食事が夜遅くなり眠る前までスマホを見ている様子。人間関係のストレスはなく疼痛を伴う疾患もないため、運動不足や夜遅めの食事で胃腸の負担、寝る前までスマホのチェックで脳が活発化し自律神経が乱れ、交感神経と副交感神経のスイッチの入れ替えが上手くいってないのが原因と思われる。
治療法
うつ伏せで頭の百会(ひゃくえ)、後頭部の下の瘂門(あもん)、肩甲骨内側の膏肓(こうこう)の刺鍼で自律神経の乱れにアプローチ。
内臓の腸が脳と相関関係にあるため腰の大腸兪(だいちょうゆ)に刺鍼後、脳脊髄液を調整する首の下の大椎(だいつい)、腰椎と仙骨の間の命門(めいもん)穴に置鍼で10分。
次に仰向けになってもらい、目の疲れをとる晴明(せいめい)とこめかみの太陽(たいよう)穴、目の下の四白(しはく)穴5㎜ほど浅く刺鍼した。胃腸の負担を軽減するための腹部の中脘(ちゅうかん)、へそ横の天枢(てんすう)、へそ下の関元(かんげん)穴に刺鍼。足の脛側にある胆経の陽陵泉(ようりょうせん)、腕の内側の心包経の内関(ないかん)穴に刺鍼して、足の胃経の三里(さんり)穴、足の甲側の肝経の太衝(たいしょう)穴に置鍼。
抜鍼後、また足裏の湧泉(ゆうせん)穴は安眠のツボとも呼ばれて手技でよく揉んで、自律神経を安定させる頭頂部の百会穴を中心に頭のマッサージ。脳内のセロトニンが催眠作用のあるメラトニンに変わり、入眠を促すためセロトニンをつくっている腸の腹部をマッサージした。
生活指導
催眠効果のメラトニンがセロトニンに変わるには朝の日光が有効的になので、起床したらカーテンを開け目に光の刺激を与えること。また、腸から迷走神経によって脳内に行くセロトニンの材料となるタンパク質とビタミンを積極的に摂ることを指導。
夜遅い食事は軽めにして夜中の胃腸の負担を軽くし、朝食はしっかり食べてもらい腸脳相関で脳も目覚めさせてビフィズス菌をはじめ発酵食品を摂ることで腸内環境を整えていくことが大事。交感神経と副交感神経のスイッチを入れ替え、自律神経のバランスと栄養のバランスをとって頂き、軽い運動をして熟睡できる環境作りを続けてもらうよう続けて指導した。