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股関節炎:股関節炎/鍼灸治療レポート9

女性 50代 会社員(デスクワーク)
症状:右股関節の痛み

既往歴

幼児期に臼蓋形成不全と言われ、一時期装具をしていた。

現病歴

来院される半年ほど前からときおり右の股関節が痛むようになった。普段は痛みを感じることはないが、出張などで長時間の移動をするなどして疲れると痛みを感じる。整形外科を受診して変形性股関節症と診断された。
臼蓋形成不全の後遺症と加齢による変性であるため、現時点での治療は保存療法しかないこと、股関節の変形が進行したら人工股関節の手術を検討するとのことで、整形外科では痛み止めを処方されているが、薬に頼らず少しでもなんとかしたいとハリアップに来院。

鑑別診断

病院のレントゲン読影で、初期~中期の原発性変形性股関節症と診断されているので、徒手検査は簡単にとどめ圧痛部位の精査を中心に調べた。
パトリックテスト・ニュートンテスト陰性。MMTは問題なし。圧痛は鼡径部・内転筋群にあった。

治療法

関節の変性により右股関節周りの筋肉に過緊張があるので、臀部・下肢・背腰部にアプローチをかけた。
伏臥位でマッサージから始め、腰部の志室(ししつ)・腎兪(じんゆ)に刺鍼し、置鍼は環跳(かんちょう)と中殿筋に。
仰臥位ではマッサージと下肢・臀部を入念にストレッチをした。股関節を慎重に回して関節部の血行を良くし、鍼は鼠径部と上前腸骨棘に。仰向けにしたときに施術前と施術後で、股関節を回す自動運動と下肢を挙上する自動運動をしてもらい、股関節の動きやすさと脚を軽く挙げられるようになったことを実感して頂いた。施術後にベッド周りを少し歩いてもらったところ、右股関節周りの違和感は消失していた。

生活指導

変性している股関節に負担をかけずに筋力アップをする指導をした。
座位になり、膝を屈曲位から完全伸展させる運動をゆっくりと時間をかけ5秒かけ膝を伸展、そのまま大腿に力を入れて5秒キープ、再び5秒かけて足を降ろす。これを3回で1セット。1日3回。
楽にできるようになったら、足首に500グラムから1キロまでの重りを巻いて負荷を上げ筋肉をつけるよう指導した。やや肥満気味の患者だったため、ダイエットも奨励し、膝への負担を極力減らしてもらうよう促した。現在、月1程度で来院されている。

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