女性 40代 飲食店
症状:卵巣嚢腫による下腹部の張り、生理不順
現病歴
2021年10月頃に大きさ5cmほどの卵巣嚢腫があると診断を受ける。
下腹部の痛みや痺れ感を感じながら生活していたが、もともと月経周期が遅かった生理がこなくなってしまった。治療法を探していたところ鍼灸による治療が良いという情報を見つけ、問い合わせを頂き来院。
飲食店で働いているため、一日中立っていることが多く、時々、冷えや浮腫みで辛いこともある。
鑑別診断
頚部から腰部、腹部、特に左下腹に筋緊張が強く、左の股関節周囲に鈍痛と少しピリピリとした痺れを感じている。
下肢の冷えと浮腫みがある。ほか、上大椎(かみだいつい)、膏肓(こうこう)、肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ)、腎兪(じんゆ)、志室(ししつ)、左大横(ひだりだいおう)、関元(かんげん)に圧痛を確認。
骨盤周りの血流改善とホルモンバランスの調整を目的に治療をしていくことを共有し、治療を開始。
治療法
頚肩から腰部までマッサージをしたあと、自律神経調整を目的に上大椎に刺鍼し、内臓機能の調整を目的に肝兪、脾兪、腎兪に刺鍼した。
子宮、卵巣の循環改善を目的に腰の命門(めいもん)、長強(ちょうきょう)に刺鍼後、志室(ししつ)に置鍼。その後、仰臥位で腹部のマッサージをして、子宮、卵巣の循環改善を目的に関元(かんげん)、中極(ちゅうきょく)に刺鍼。
下肢の血流促進を目的にマッサージにストレッチを組み入れ、月経を促すために足の血海(けっけい)に刺鍼した。
セルフケアとして月経前の刺激物の摂取を控えるように指導。腹部の循環改善を目的にビフィズス菌サプリメントを提案した。
鍼治療は月経前後と次の月経に備えるための調整に月経後2週後の来院を提案し、次回来院は月経前となった。
2回目の治療は1週間後。前回治療後、左下腹部から股関節の鈍痛、ピリピリとした痺れはなくなったと話してくださり、胸周りが張るなど月経がきそうな予兆があった。治療内容は前回同様に行い、関元の置鍼を追加。
次回は月経後の来院を指導した。
3回目は2回目の治療から10日後の月経終了後のタイミングで来院され、少し周期は遅れはしたが、久しぶりに月経がきたので安心したとのこと。
下腹部の張りや鈍痛も少し残っているが改善されてきており、現在も月3回ほどの治療を行い、卵巣嚢腫の除去を目的に治療を続けている。