女性 30代 会社員
症状:自律神経失調症
既往歴
気管支喘息、花粉症、月経困難症
現病歴
お身体の異常を感じ始めたのは2021年11月頃。激務で体が疲れると呼吸が浅くなったのは初めて。
年始、家族へ新年挨拶に行った際、色々と聞いた話でストレスがピークとなり過呼吸になってしまった。過呼吸は一過性ですぐ治まったが、それからはずっと胸の奥がザーザーとして気になってしまう。
さらに生理の際、体のだるさや、生理痛、息苦しさがピークとなり婦人科、内科に行ったが特に異常は見つからず。メンタル、自律神経、ホルモンの問題と言われただけで特に何の処置もされなかった。
早く症状改善したいと治療に関しての糸口を見つけたくて調べた結果、鍼灸が自律神経失調症に有効というコラムを読んで、ハリアップカレッタ汐留院に来院された。
鑑別診断
問診でお顔を見たとき、全体的に顔色が暗くてクマが見えていたので肝臓の血液循環の悪さを疑った。生理前なので全体的に体調が悪く、身体の重だるさが強くイライラしやすい状態。
やせているのにお腹が膨らんでいて、膨満している、押すと肋骨の下と下腹部が硬く張っていて、押したら苦しさを訴える。軽くたたくと風船をたたくような感覚がある。
呼吸の深さを確認するため、深呼吸をしてもらったが胸郭が広がらず、呼吸が深く吸えなかった。肩こりが酷くて硬さから見て内臓性の肩こりであることを推測した。
以上のことから、長い時間座位での仕事が血流不全を起こし、さらにストレスによるお腹の膨満感や肩こりによって胸郭がうまく広がらず呼吸が浅くなっていることで、自律神経の乱れが発症したと判断し、治療を開始した。
治療法
自律神経、脳脊髄液の流れ、肩こりの改善に対するアプローチとして、首から肩にかけて瘂門(あもん)、天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、上大椎(かみだいつい)などに刺鍼を行った。
さらに、背部の膏肓(こうこう)、腰部の志室(ししつ)、肝兪(かんゆ)、腎兪(じんゆ)に刺鍼し、背中から腰にかけての刺鍼で肩の張りを確認。首肩周りに直接刺鍼したことにより、背中から腰周りまでの張り感が緩んだことを確認。首肩の硬さは単なる筋肉の張りや血行不全ではなく、自律神経の不調ということを確認した。
そのため、症状は上半身に集中しているが、月経困難症から考えられる子宮の循環不全、自律神経バランスを調整するため、骨盤にある環跳(かんちょう)に刺鍼、次髎(じりょう)に置鍼をした。
仰向けでは、お腹を触ったところ一部硬い部分があり動きもなく、下腹部は押したとき苦しさがあった。そこで、大横(だいおう)、天枢(てんすう)、期門(きもん)、関元(かんげん)に刺鍼し、マッサージを行った。
その後、調子を確認すると今まで感じたことない軽さがあったので、患者も「本当に自律神経からくる肩こりだったんですね」と話してくださった。施術後は、呼吸も以前よりしやすくなり、顔色もより明るくなってクマも薄くなっていた。
2回目の治療は1週間後だったが、胸のザーザーする感じはまだ残っているが呼吸が以前よりしやすく、生理痛がほとんどなく快適に過ごせたそう。
前回のポイントを治療しつつ、浅い呼吸で硬くなりやすい肩関節や胸部周りの関節を動かすための整体を併用して治療した。
最初の治療から2ヶ月経過した現在では、胸のザーザーはほとんどなくなり、よほど疲れない限りこれまでの不調に悩むことはなく、肩こりや生理痛も体調に合わせて2週に1回の治療を継続している。
生活指導
ストレスに対して今までは衝動的に暴飲暴食、買い物をしてストレスを解消していたので、軽く汗をかくレベルの有酸素運動を提案。
身体や心に負担を与えたり、あとで後悔してよりストレスになる解消法ではなく、気持ちの良いストレス解消法を患者と一緒に考えて実践した。