男性 30代 会社員
症状:坐骨神経痛、腰痛
現病歴
仕事柄、長時間のデスクワークで座るとお尻が痛い。まともに座っていられないので、車に座るのも辛い。首から腰にかけては凝り感があり、ゴルフ後、臀部の痛みが止まらない。
近所でマッサージを受けに行き、身体の状態を聞いてみたが説明もしてもらえず症状が全く改善しないため、インターネットで口コミを見て、ハリアップ丸ビル院に来院された。
鑑別診断
来院時、左右に揺れるような不安定な歩き方をされていた。慢性的な首肩こり、腰痛あり。
ゴルフの練習に行くことが多いこともあり、腕やふくらはぎ、大腿部の張りも顕著。股関節が硬い自覚あり可動しづらく、下腿部にに少し痺れが出ており、冷えも感じることがある。
腰の痛みだけでなく臀部にまで痛みが生じていて、足に痺れが出ていることから、坐骨神経痛と考えた。長時間のデスクワークで、頚部から背部、骨盤部にも歪みが生じて慢性化している。
日頃から坐骨神経が圧迫されている状態で、ゴルフで腰に更に負担がかかり、股関節にも影響がでていると考える。股関節は太ももの付け根にあり下肢と骨盤をつなぐ荷重関節で、体重を支えてくれている。
ゴルフプレー後に痛みが増強。お尻の横側にも痛みが出ているので、腰だけでなく股関節にも影響が出ていると考える。
治療法
いたるところに痛みが多発しているので、身体全体を緩ませ、筋緊張を取り除く必要がある。強張っている下肢から緩め、赤外線で温めながら仙骨の周りに置鍼した。臀部から下肢の環跳(かんちょう)、殷門(いんもん)、風市(ふうし)に刺鍼し、指圧マッサージ・ストレッチで関節周りから緩め可動させるよう努めた。
筋肉、内臓を動かしているのは脳であり、中枢神経に対する刺激も行う必要があることを説明し、瘂門(あもん)、風池(ふうち)、天柱(てんちゅう)に刺鍼。体のバランスをとるため手足にも刺鍼。
最後は内臓の疲労がみられた硬くなっている腹部のマッサージと、頭部も軽く指圧して施術終了とした。
急性ということもあり、5日後2回目の治療で来院。痛みは、ほぼなくなっており、座っても痛みもなく大丈夫な状態。足の痺れもないが、まだ臀部から大腿部の硬さは残っているので、引き続き治療を行う。前回の治療に加え、腹部の関元(かんげん)周りを温めながら施術を行う。血行促進のため、陽陵泉(ようりょうせん)、血海(けっかい)、曲池(きょくち)に刺鍼した。
生活指導
初めての鍼治療で少し不安がある様子だったので、お身体の状態をしっかり説明する。鼠径部、骨盤部は冷やさないよう気をつけ、治療後は動きやすくなっていると思うが、急に動いたりせず、内臓にも負担をかけないよう温かい飲食を勧めた。
痛みがない時は、股関節をなるべく可動させるように、治療後、ご自身でできるセルフケアを指導した。
「鍼って、すごいです!こんなに早く痛みがとれるなんて。「と言っていただけたのですが、急性症状で早期に治療を開始できたことが早期改善につながります。首肩こり、腰痛とはいえ、坐骨神経痛の痺れ症状も出ており、今回痛みを我慢し続けていたら、さらに、股関節の痛みも酷くなるケースがあります。
未然に防止できることが、東洋医学の素晴らしい点でもあるので、痛みを感じた時点での治療、痛みや痺れを繰り返さないための定期的なメンテナンスを行うことは、未病予防にもつながります。