男性 40代 調理師
症状:腰痛
現病歴
腰痛を自覚してからもう10年以上たっているが、ここ1ヶ月の間、腰痛が酷くなってきた。
火の前で鍋を振る時の腰の痛みが強く、休むと回復するが立って仕事をし続けていると、最初じわじわと痛かったのが刺すような痛みに変わり、腰痛が強くなるとお尻から太ももの裏側まで張り感が強くなって、痛みで仕事に集中できない状態になってきた。
坐骨神経痛かと思い病院で診察を受けたところ、腰椎椎間板ヘルニアではないが、やや腰の骨の間が狭くなっていると診断された。
このような症状には筋肉を緩めるマッサージ整体などがいいと医師にも勧められたので、腰痛・神経痛治療に特化したハリアップカレッタ汐留院に来院された。
鑑別診断
立ち姿勢を見ると骨盤が前傾になっているので、腰が反りやすく上半身が猫背で脊柱のカーブをより強くさせている。
脊柱はもともと緩慢なS字を描くようになっているため、そのカーブが激しくなりすぎると、腰椎への圧迫が強くなりやすい。
腰椎への圧迫はさらに脊柱の間を狭くして、そこから出てくる神経、血管はもちろん、その周りの支持組織を圧迫し、痛みを誘発しやすくなっていると判断した。
治療法
まずは頚部の風池(ふうち)、天柱(てんちゅう)、完骨(かんこつ)、上大椎(かみだいつい)など、首、肩、背中周りのツボを使い、猫背へのアプローチと自律神経の活性化を目的に刺鍼し、鎮痛物質の分泌促進を図る。腰部は志室(ししつ)、腰眼(ようがん)、大腸兪(だいちょうゆ)、脊柱の際など特に圧迫されやすい部位に刺鍼し、抜鍼後は指圧マッサージと皮膚をつまみながら刺激することで血行を促進。鎮痛物質の分泌促進、また代謝や筋緊張の緩和を促した。
長時間の立位の仕事からくる下半身の筋疲労は、腰痛の原因になることが多いので膝裏の委中(いちゅう)のマッサージとふくらはぎに刺激を与えた。
さらに、腰と表裏関係にあたる腸へのアプローチをすることで、自律神経の機能を活性化させること、腰を反らせる原因のひとつであるタイトな腸腰筋を緩めることを目的として、腹部のマッサージや抵抗運動を行った。
施術前は、仰臥位や寝返りをするときに痛みを伴ったが、施術後は痛みが消失。
立ち姿勢や歩く時の感覚が、以前にないくらい軽くてスムーズになったと話された。
後日来院されたときに確認すると、やはり数日仕事をすると痛みは戻りつつあるが、以前より辛い状態までにははならないと話してくださった。
現在は一週間程度のペースで施術を行い、施術の効果をより長く持続させるためにセルフケアを含め、治療に専念されている。
生活指導
体幹の筋肉をうまく使いこなして反り腰を改善するため、腰の負担が少ない腹筋運動を指導。
硬くなりやすい下半身の筋肉の緊張を緩和させる目的として、臀部と大腿部のストレッチも指導し、仕事後に取組んでもらっている。