女性 50代 パーソナルトレーニングインストラクター
症状:突発性難聴
現病歴
来院4ヶ月前にヘルペスウイルスが三叉神経を犯し、顔面神経麻痺と突発性難聴(右耳の聴力が2割程度まで低下、高音が聞こえにくい)・耳鳴り(常にシャンシャン鳴っている、静かなところではより聞こえる)を発症。
仕事や介護のストレスで免疫力が落ちていたところで発症し、かなり気分的にも落ち込んでしまった。すぐに大学病院に行ってステロイド注射をし、顔面神経麻痺と突発性難聴は5割程度軽減したが、耳鳴りは治らず。
ホームページで検索すると上位に当院が表示されていて、とても信頼できると思い来院を決めた。
全身が硬く緊張している状態で頭皮までカチカチに固まっていた。
鑑別診断
大学病院にて顔面神経麻痺(ベル麻痺)と診断され、聴力検査でも左右差が大きく開き右耳の聴力がかなり低下しているのが認められた。
MRIで脳神経腫瘍や脳波測定では異常が見られないため、突発性難聴と診断を受けた。
突発性難聴の後遺症で耳鳴りが残っている状態で、心因的な要素がないかどうかも含め、今後クリニックを検討している。
治療法
最初はヘルペスの後遺症治療とのことで耳周りに施灸し、風池(ふうち)、完骨(かんこつ)、翳風(えいふう)、聴宮(ちょうきゅう)、耳門(じもん)、百会(ひゃくえ)、内関(ないかん)、中渚(ちゅうしょ)、星状神経節に刺鍼。
内耳への血流を促すために首へのアプローチも行った。
お腹周りにも刺鍼し、身体の自律神経バランスの調整とストレス緩和を目指した。置鍼は翳風と星状神経節。
初診来院から1ヶ月ほどで顔面神経麻痺と突発性難聴の症状は、ほぼ気にならないほどに回復したが、耳鳴りだけは一向に治らず。
何回か後に顎周りの凝り、歯軋りや食いしばりがあるとのことで、そちらのアプローチを加えると明らかに変化が見られ、耳鳴りに複数の原因が混在していることがわかった。
週に1回の治療で約6割ほど耳鳴りも改善され、現在は再発しないようメンテナンスで通われている。
まだ好不調の波があるが睡眠の質が上がってきたこと、仕事に支障がでていたことで心理的にも辛い時期があったが、鍼治療を重ねていく中で自信を取り戻してきたことも、回復の要因になったと考える。
このような症例の方は、まずは自律神経を整えるところから、自身の回復能力を最大限に引き出すことを意識していくと早期回復に繋がる。複数の原因が考えられるときは、自身の笹井些細な不調でもなんでも伝えておくと、それが治るきっかけになり得ると患者と共有した。