女性 31歳 会社員
症状:便通が少ない、便が硬い、肩こり
現病歴
慢性的な便秘症で、子供のころから便通が極めて少なかった。便が硬いため、排便が容易ではなく、排便時にはいつもかなり苦しい思いを味わってきた。
近所の内科で薬をもらったり、市販されている薬を買って症状の改善を試みたが、さほど効果はなく、今度は東洋医学系の治療を試してみようと思い立って、来院した。
鑑別診断
暴飲暴食とまではいかないが、食欲は非常に旺盛で、仕事が忙しくなると食事の時間や嗜好が偏ることが多く、コロコロとした便になって排便も辛くなってくる。
また、触診すると肩甲骨の内側と胸椎の周りに筋緊張が強く、自覚症状はないようだが、腰部・腹部に触れてわかるくらいの筋肉の硬結がはっきりとあった。
治療法
週に2回のペースで、足三里(あしさんり)と胃兪(いゆ)、脾兪(ひゆ)、肝兪(かんゆ)など膀胱系のツボ、及び大横(だいおう)、中脘(ちゅうかん)、天枢(てんすう)などお腹のツボへの鍼による治療を開始した。また、食事の量も調節し、偏食も改め、毎朝決めた時間にトイレに入ることを習慣化するようアドバイスした。
治療の回数を重ねるにつれ、自律神経のバランスが整ってきて、次第に便通の回数が増え、排便時の苦痛もいくぶん緩和され半年後に完治した。
患者が積極的に生活習慣の改善に取り組んだこともあり、長年続いた慢性的な便秘を治す重要なポイントとなったケースである。