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スポーツ障害と鍼灸治療

2019/05/31

スポーツに怪我は付きもの。
今回は運動によって生じる怪我や痛みの治療のお話です。

転倒や衝突など強い衝撃が加わって生じた骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷・肉離れなどの直後(急性期)には、適切な処置が必要です。救急処置は『RICE』と覚えておくとよいでしょう。
R(rest ・ 安静)
I(icing ・ 冷却)
C(compression ・ 圧迫)
E(elevation ・ 拳上)

これらの頭文字が示す処置で、痛みを和らげ、腫れを抑え、患部の安静を保ちます。この初期のRICE処置が最も重要で、怪我や痛みのその後の回復を決定すると言っても過言ではありません。

鍼灸の出番は、一般的に、受傷後しばらく経って、急性期を過ぎての病期から来院される方がほとんどです。
スポーツにおける鍼灸の主な治療対象は、自発痛・運動時痛の除去、軟部組織の血行改善です。これには、次の運動までに正常な機能や筋力を引き出せるよう回復させるだけでなく、再び傷害が起こるのを防ぐ、予防・コンディショニングも含まれています。

傷害の原因となっている部位(筋肉・靭帯・軟骨など)を診療によって特定し、除痛・循環の改善・過緊張の緩和の治療をします。痛めている組織はもちろんですが、その部分をかばうことによって生じる周辺部位の痛みや過緊張の解消も重要です。
私たち鍼灸師が、痛い所から離れた、一見なんの関係もなさそうな場所に鍼を打つのも、実はこのアプローチのためなのです。

痛みが取れ、可動域も改善し、筋力も回復した後の予防・コンディショニングでも鍼灸は有効です。

打撲・肉離れ・捻挫など、外傷・怪我以外のスポーツ傷害のうち最も多い原因は、過度使用(オーバーユース)と、過緊張による軟部組織の柔軟性低下です。
血行を良くする鍼灸治療は、発痛物質や疲労物質の滞りを速やかに流し去り、筋肉の過緊張を解きます。

スポーツ障害を起こさないよう、ぜひやって頂きたいセルフケアは、スポーツ前後のウオーミングアップ・クーリングダウンと、オーバートレーニングを慎むことです。
自分に合った適度な運動と充分な休息で、いくつになってもスポーツを楽しめる身体を保って頂きたいと思います。
鍼灸治療は、そのためのお手伝いができます。

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