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更年期障害と東洋医学

2019/09/08

更年期障害とは?

更年期障害とは閉経の前後に現れる多種多様な症状のことで、日常に支障を来す症状とされ、卵巣機能の低下、特に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌低下が原因とされています。
 症状としては自律神経失調症と似ており、ほてり、冷えのぼせ(頭部の熱感・手足の冷え)、精神症状(いらいら・抑うつ感など)が主です。西洋医学的な治療はホルモン療法(エストロゲン補充療法)が中心となります。

腎臓の気の増減

 東洋医学において、月経などの生殖機能は『腎臓』と深く関連しています。東洋医学では14歳で腎の気が満ちることによって月経(生理)が始まり、49歳で腎の気が衰え閉経を迎えると言われます。この腎の気が衰える時期に体内の陰陽バランスが崩れ様々な症状が出ることになります。

 

腎が衰える(腎虚・じんきょ)

体内の気が減ってしまう症状=虚証(きょしょう)には陰虚(いんきょ。冷たい気が減る)と陽虚(ようきょ。熱い気が減る)の2タイプがあり、陰虚になると身体を冷やしたり栄養したりする能力が減り、陽虚になると温める能力が減ったり、疲労感が抜けなかったりします。更年期は『腎』の気が減ることによる症状なので、腎陰虚(じんいんきょ)・腎陽虚(じんようきょ)と呼びます。

更年期で多くみられるのぼせ、ほてり、寝汗、不眠などの症状は腎の陰虚が、自律神経を管理する『心臓』にも影響した状態で、心腎陰虚(しんじんいんきょ)・心腎不交(しんじんふこう)などといいます。
逆に手足が冷えたり、食欲不振、疲労感がとれないなどの症状は腎の陽虚が、消化活動を管理する『脾臓』にも影響した状態で、脾腎陽虚(ひじんようきょ)などといいます。
 その他に多いのがイライラしやすい、抑うつ感などの症状がある場合は、ストレス管理をしている『肝臓』にも影響が及んでおり、肝腎陰虚(かんじんいんきょ)・肝陽上亢(かんようじょうこう)などといわれることもあります。

このように加齢により腎の力が衰え、様々な症状が起きますので、鍼灸では更年期の方に対して、『補腎(ほじん)』という腎の気を回復させるような治療をメインに行います。そして、症状によって、心であったり、脾であったり、肝の治療を補助的に加えていきます。
これらの治療は鍼や灸でツボの力を使い治療していきますが、日常的にできる方法として食事療法があります。おすすめの食材をご紹介しますので参考にどうぞ。

症状別おすすめ食材

〇陰虚の症状が強い場合(ほてり、のぼせ、ホットフラッシュなど)
・やまいも、小麦、黒ゴマ、イカ、エビ、桃など

〇肝の症状が強い場合(イライラ、抑うつ感など)
・しそ、みかん、ゆずなど

〇陽虚の症状が強い場合(冷え、元気がない、夜間に尿量が増えるなど)
・くるみ、にら、羊肉、くりなど

〇脾の症状が強い場合(食欲がない、下痢しやすい、舌に苔が多いなど)
・さつまいも、しょうが、かぼちゃ、さくらんぼなど

このように、更年期障害に対してはホルモン療法以外にも、鍼灸治療や食事でできるアプローチがあります。皆さんぜひ試してみてください。
 

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