左脇のやや前側に3つほど疱疹
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【来院患者】60代・男性
【症状】左背中から前胸部にかけての痛み
【発症時期】2023年4月末
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疱疹を見つけて最初は来院時ほど痛みがなかったため放置していたそうですが、その後、背中から胸にかけて痛みが出てきたため、発症して2週間経ってから皮膚科を受診したところ、帯状疱疹後神経痛と診断。
治療としては皮膚科で処方されたファムシクロビル、ロキソプロフェンを毎日服用していて5日ほど経ったが、痛みが減るどころか悪化し、来院前日の夜からは痛みで寝ることもできなくなったそうで、焦った様子で電話で問合せを。
このままでは辛く、日常生活にも支障が出るため、少しでも改善できないかとインターネットで検索したところ(検索ワード 帯状疱疹 鍼灸)ドクター・リウ鍼灸院 西新橋院に辿り着き、来院されました。
来院時はどの姿勢でも痛みが強く出ていて、背中から胸にかけて触れたりすると、軽く触るだけでも痛みが強く出ているようで、病院で勧められた入浴、横向き(患側を上にする)姿勢だとやや改善する気がするとのこと。
今は中国からお嬢さんが住んでいる日本に遊びに来ているところなので、なんとか早く治して滞在期間を楽しみたいと話されました。
状態を確認したところ、
左第1胸椎から第5胸椎領域に激痛
左脇やや前方に、まだ赤みがあり熱をもっている帯状疱疹がある状態でした。
総院長 劉先生の診断により、まずは左側臥位で罹患部分に沿って神経根へのアプローチを意識してお灸を。次に仰臥位で帯状疱疹部分にも背面同様、熱さを感じるまでお灸を。
ドクター・リウ・メソッドの帯状疱疹治療において、痛みの要因となっている神経毒素のウイルスを抑制、鎮痛作用のあるお灸を併用した鍼治療をします。
お灸の後に再度、左側臥位に体位変換して触診で痛みの確認をすると、第1胸椎から第4胸椎領域に背部から前胸部まで帯状に1gほどの圧でも激痛が走ることを確認したので、第1胸椎から第4胸椎の神経根部に刺鍼を。
鍼の刺激後、背部から腋窩の痛みの変化を確認すると、背部の痛みはなくなったと話され、ゆっくり仰向けになってもらい、帯状疱疹部分を外して背部同様に罹患神経に沿って単刺で刺激をすると、前胸部も痛みが消失しました。
腋窩の痛みはやや残っていて、皮膚を見るとまだ帯状疱疹ウイルスによる炎症が残っている可能性もあり、刺激過多になると逆に緊張が強まり痛みが悪化する可能性があることなどを説明し、局所には施術はしないが体の免疫力を上げることが帯状疱疹ウイルスを抑えるためにも有効であることを伝えて、腹部の施術に移行しました。
当初、腸の働きに関して患者本人の自覚はなかった様子でしたが、触診していくとお腹全体が硬くなっていて、とくに臍の直上の緊張が強かったため、ここの緊張が緩むと脳腸相関によって痛みを抑えるホルモン分泌を促進させ症状改善に有効であることを伝え、硬結中心に単刺で刺激しました。
2回目の鍼治療は3日後。
その後、3回目の治療で来院された際、「前回の治療後、驚くほど痛みがなくなったので、日本の滞在期間を当初の計画通りに戻すことができてとても嬉しい。感謝です。」と話してくださいました。
状態が良くなられたこと。また、日本滞在中に帯状疱疹を発症してしまったことで、患者さんのお嬢さんが当初は気持ちが落ち込んでいたようだったのが、満面の笑みを見せてくれたので、治療していて本当に良かったなと思いました。
帯状疱疹は処方された薬を服用後、皮膚の状態が良くなったら完治したと思われがちですが、数週間数ヶ月後、痛痒い、洋服が触れるだけでも痛いと、帯状疱疹後神経痛となって来院される方がほとんどです。
帯状疱疹後神経痛の治療は神経症状を改善させるため、発症後いかに早くアプローチするかが重要になります。
今回は発症して間もないときは痛みがなかったこともあり、少し放置してしまい、結果として発症して2週間後に病院を受診。
それから鍼治療を開始するというタイムラグが生じてしまい、治療のゴールデンタイムを逃してしまっていたと考えられます。
通常であれば神経痛として痛みが残る可能性が高い症状ですが、痛みが出てすぐに鍼灸を受診することで早期回復に繋がり、ウイルス抑制作用・鎮痛作用と、鍼灸の凄さを再認識できる症例でした。