女性33歳 会社員
主訴:目の疲れ
現病歴
もともと目が疲れやすいうえに、長時間パソコンの画面を見ながら仕事をしているので、疲労感がひどくなった。眼科で目薬をもらったり、市販されている目薬を買って常用したりしていた。また、雑誌や本に紹介されている目の体操なども試してみたが、目覚ましい効果はなかったので、鍼灸による治療を試してみようと思い立って来院した。
鑑別診断
まず、眼球を動かす筋肉がかなり疲れていることが確認された。上下左右に眼球を動かすように指示したところ、眼球があまり動かず、特に上下の移動に硬さがあった。無理に動かそうとするとかすかに痛みを感じたという。
また、後頸部にコリがあり、特に風池(ふうち。首の後ろにあるツボ)の周囲と、肩甲骨の内側が非常にこっていた。
治療法
週に2回、肝兪(かんゆ)、胆兪(たんゆ。それぞれ背中のツボ。ここでは目と関係が深い肝臓への刺激を目的としている)、睛明(せいめい)、四白(しはく。それぞれ目の周りにあるツボ)への鍼による治療、養老(ようろう。手首にあるツボ)への灸による治療を併用して治療を続けた。また、患者に目の周囲を押し揉むマッサージ法を教えるとともに、仕事の途中で目を休める習慣を身に付けること、仕事が終わったあとのオフの時間にあまり目を酷使することのないようアドバイスした。
治療を重ねるごとに症状が軽くなり、約1ヵ月で完治した。患者が徐々に生活習慣を改善し、毎日マッサージを実行したこと、目を休ませる時間を作るように努力したことも、完治する時期を早めた大きな要因となった