男性 50代 会社員
症状:ぎっくり腰・下痢・腹痛
現病歴
ふだんから慢性的に腰痛があり、下痢や腹痛を伴うぎっくり腰を繰り返している。
一週間ほど前に寒い場所で長時間立位での仕事をすることがあり、それ以来下痢や腹痛を感じ始め、来院される3日前に腰に急激な痛みが走った。
病院で検査をした際にレントゲンで異常はなく、湿布を処方されしばらく様子を見ていたが痛みが抜けきらないため、早く改善したく来院された。
以前から下痢・腹痛を伴うぎっくり腰を繰り返しているため胃や大腸を検査したことがあるが、異常は診られなかった。
鑑別診断
触診したところ背部から腰部の体表が冷えており、胸椎10番から腰椎5番までの範囲で圧痛がみられた。
体幹の前屈、側屈の動作で、左右ともに自動運動痛が出現するが、腰下肢部に神経学的所見はみられなかった。
筋筋膜性の腰痛、ぎっくり腰と判断し、今までのぎっくり腰の経験からも内臓との関連が示唆されたため、内臓の冷えと共に筋肉の緊張緩和を目的とした治療を行う。
治療法
頚部・肩部・腰下肢の筋緊張緩和を目的に、伏臥位にて腰下肢を遠赤外線で温めつつ鍼施術を行い、大腸兪に施灸した。
体位変換時に坐位にて腰部の整体(抵抗運動)を行い、仰臥位に。
仰臥位で腹部のマッサージ、大横、天枢など腹部のツボに単刺をしたのち、股関節周囲のストレッチを行った。
この時点での動作時痛を確認し、再び坐位にて整体(抵抗運動)を行ったところ、動作時痛の出ていた体幹前屈、側屈それぞれで動作時痛は消失した。
生活指導
腸の硬直化や便秘、腸のねじれなど内臓体制反射が起因するぎっくり腰もあること、また普段から腸内環境を整える必要性を説明し、内臓を冷やす冷たい飲み物や生野菜の摂りすぎに注意するよう指導。
1回目の鍼治療から3日以内での来院を伝え、2回目の来院時には痛みが軽減していた。