男性　50代　会社員
症状：左肩の痛み

既往歴

4年半前に胃癌で手術して胃の2/3を切除。
胃癌発症前は毎日ワイン1～2本飲むなど持続的な飲酒と肉食中心の偏りのある食生活をしていた。便秘気味で4年前に胆石があることを確認しているが、今のところ特に変化はない。

現病歴

半年前から左の肩痛みが出現するも病院の診断は受けていない。
マッサージを受けても痛みは変わらず、とくにテニスをした後に肩の痛みがひどくて上げられなくなった。夜間痛が酷くて眠れないので生活も仕事にも支障が出始めたため、知人にインターネット検索で鍼灸院を調べてもらい、口コミが良かったので早く痛みを改善したいとハリアップに来院された。

鑑別診断

右脇下部の筋緊張が強い。左頚椎横突2-4番の圧痛、左大腸経全般に圧痛、左肩の屈曲と外転不可。
痛みの出る時間帯と筋肉の状態、これまでの既往歴から内臓の機能低下による五十肩と思われた。

治療法

腕が痛くてうつ伏せができないので、横向きで施術を開始。
左頚椎横突の1-5番までの圧痛のある部分を血流改善を目的に、繰り返し軽くマッサージを行う。また、肩関節の可動域改善のため、小胸筋、三角筋前繊維、肩甲骨内縁の僧帽筋、菱形筋に鍼施術でアプローチし、肩甲骨を可動範囲まで十分に肩関節をまわしながら、無理のない範囲でストレッチをした。
そして　気血の流れの改善目的に大腸経の圧痛点を繰り返し軽く指圧し、患者に肩を動かしてもらったところ、外転時はまだ疼痛があるが、肩関節の屈曲の動きは問題なくできた。

2回目の治療は1回目の治療から3日後。
肩関節の外転制限がまだあるが、屈曲は正常範囲着れるようになったそう。「1回の鍼治療でほぼ痛みがなくなり本当に嘘みたいだ」と仰っていました。
前回同様のアプローチで外転時の可動域が改善。
内臓に起因する五十肩のため、陽陵泉（ようりょうせん）、胆経（たんけい）の阿是穴に単刺で刺激し置鍼する。
3回目の鍼治療は少し間隔を開けて、2回目から2週間後。
外転制限がもう少しの状態のため、頚椎の圧痛部位から肩にかけて鍼施術をした後、両肩のストレッチと左肩の抵抗運動をしたところ、肩関節の可動域が本来の動きができるまでに改善した。

今回のように痛みがあっても対処療法で半年も様子を見るケースが多いが、鍼施術による関節内アプローチで3回の治療で完治。
疼痛・関節可動域ともに早期改善できることをお伝えした。