女性 20代 会社員(現在、休職中で資格取得に向け勉強の毎日)
症状:右突発性難聴・耳鳴り・不眠
発症:2021年3月
現病歴
来院される1ヶ月ほど前から耳の詰まり感と高音の耳鳴りがひどくなり、来院の1週間前に耳鼻科を受診し突発性難聴と診断を受けた。
一番気になるのは右耳のキーンという耳鳴りで、勉強に集中できない日々が続き何とか改善したいと検索したら、鍼治療が期待できると書いてある記事を見つけて鍼灸を受けてみようと、ドクター・リウ鍼灸院 渋谷駅前院に来院された。
突発性難聴の症状によるストレスで不眠の症状も出現しており、睡眠導入剤を服用している。
鑑別診断
資格取得に向け仕事を休職中のため、仕事していた時間を勉強時間に費やしていることで生活習慣が乱れ、不眠や頚部や肩部、強い背中の張りが出現している。
ストレス性の突発性難聴に伴う耳鳴りと判断。
治療法
鍼治療が初めてということもあり刺激は注意しながら調節し、まずはマッサージで頚部や背中の張りに対してアプローチを。
少しほぐれてきたところで、天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、上大椎(かみだいつい)、膏肓(こうこう)に刺鍼し、背中の張り感を緩めたところで翳風(えいふう)、聴宮(ちょうきゅう)に置鍼。
その後、鼓膜へ刺激を入れる手技、頭部へのマッサージを取り入れ、耳周りの血流改善を図った。
治療後には身体が軽くなり耳鳴りの聞こえ方もやや改善された。
2回目は1週間後に来院。
鍼治療をしたあと2日ほど調子はよかったが、天候不良や生活リズムがこれまでのまま改善できていないせいか、3日後くらいからまた少し症状が気になり始めた。
治療法としては基本的には変えず、刺激量を少し上げて置鍼時間を長くとった結果、治療直後は前回と似たような感じだったが、効果の持続は5~6日続いた。
2回目の治療から1週間後の3回目
効果の持続が2回目よりさらに続くようになり、勉強に集中できる時間が増えてきたそう。この日も大幅に治療法は変えず刺激量、置鍼時間を調整するほどで終了。
すると4回目来院時(2週間後)には効果の持続が以前より伸び、耳鳴りの軽減、音の聞こえやすさが出てきたと変化が見られ、現在も1~2週の間隔で治療を行っている。
セルフケアとしては翳風穴のマッサージ、鼓膜へ刺激を加える手技、しっかり湯船に浸かることで体を温めリラックスできる時間を1日の中に少しでも取り入れることを指導。
突発性難聴の原因は明確にはなっていませんが、ウイルス感染や、血流の循環不良、生活リズムが乱れたり、マスクによって耳にストレスが過度にかかってしまったりすることで発症に繋がるとされています。
放置すればするほど症状は複雑になっていく上、神経回復に時間がかかります。
不調を感じたときの早めの治療や事前の身体のメンテナンスによる予防として、鍼灸を生活の中に取り入れていくことをお勧めいたします。