30代 男性 会社員
症状:右顔面部の麻痺(ベル麻痺)
発症:2021年3月末
既往歴
漏斗胸、気管支喘息
※胸壁の中央部が凹んでいる変形を漏斗胸といい、肋軟骨の変形が原因とされています
現病歴
来院される1週間前から顔の動きが悪くなった。
3ヶ月前に職場が変わり、もうすぐ子供が生まれるということで、心身ともにストレスがかかっていた様子。
症状が出始めてすぐに病院に行き、そこで顔面神経麻痺(ベル麻痺)と診断を受けた。
そのあと別の鍼灸院に通ったが変化が実感できず、インターネットで探してドクター・リウ鍼灸院 西新橋院に来院された。
鑑別診断
顔面部の痙攣はなく、片側性の表情筋の麻痺。
頚部から背部にかけて筋緊張が顕著にみられた。
治療法
始めは仰臥位にて表情筋の血流改善を目的として、口元から頬にかけて触診しながら目の周りを入念に指圧マッサージを。
そのあと、顔面神経の根幹である翳(えいふう)、神経の走行上に位置する顴髎(けんりょう)に刺鍼し、刺鍼後に末梢神経の回復を目的として局所への灸刺激を加えた。
体勢を側臥位に変えて首から肩、背部にかけての筋緊張緩和を目的としたマッサージと鍼治療を行い、再度仰臥位にて眼輪筋や口輪筋に位置するツボ、攅竹(さんちく)と迎香(げいこう)へ刺鍼、指圧マッサージをして1回目の鍼灸治療は終了。
置鍼中は顔面部を遠赤外線でしっかりと温めていた。
施術後は、刺激感がかなり入ったもののすぐに動きが改善したという様子ではなかった。
最初の3回は鍼の刺激がしっかり伝わるくらいの状態で末梢神経の活性化をさせる必要があることを説明し、一週間のうちに続けて通院するように指導した。
3回目の治療から口元が少しずつ動くように感じ始め、4回目では表情筋が全体的に動くようになってきていることを実感された。
6回目には違和感なくかなり改善されたことを実感され、少し治療間隔をあけながら様子を見ていくこととなった。
今回の顔面神経麻痺症例は、最初はなかなか変化を感じられなかったが3回続けて鍼刺激を入れつつ、ご自宅でもセルフケアとしてマッサージや表情筋の運動をされたこと
また、患部だけでなく免疫力を高めるため体全体をしっかりと温めることで、神経の賦活化が進んで改善したと考えられる。