男性 30代 医師
症状:左背部から上肢にかけての痺れ
発症:2021年1月末
現病歴
来院される6ヶ月前から左腕に徐々に違和感が出始め、1ヶ月月前から左に首を倒したり左後ろを見ようとしたりした際に左腕の痺れや左背部に痛みを感じるようになった。
検査器具を保持したりパソコンに向かって仕事をしたりする時間が長くなると症状が出てくる。近くの鍼灸院にも通ってみたが患部に鍼をすることはなく症状も変わらなかった。
診断を受けたときに理学療法からは自宅で首のストレッチを勧められたが、症状改善につながるイメージがわかず、仕事がら首に負担がかかることもあって、早期に症状改善できるところはないかとインターネットで探し、問い合わせて来院された。
鑑別診断
整形外科の画像診断にて頚椎症と診断。ジャクソンテスト、スパーリングテスト(+)首の後屈、左側屈にて左上肢(示指と中指)に痺れが放散され、左背部に痛みが出現する。
頚椎症性神経根症(高位頚椎7番)が考えられる。
治療法
神経根周囲に鍼でアプローチを行い、血流改善、神経の賦活化を促す。また、頚椎周囲の筋緊張緩和を目的に鍼・マッサージ整体を行うことを説明。
1回目の治療は、伏臥位にて首から肩甲骨周囲、左上肢にかけてマッサージを行い、天柱(てんちゅう)、上大椎(かみだいつい)、肩外愈(けんがいゆ)、膏肓(こうこう)、天宗(てんそう)、曲池(きょくち)にそれぞれ単刺を行い、上大椎、曲池に置鍼を。
次に、側臥位にて風池(ふうち)、完骨(かんこつ)、頚椎6番の際、肩井(けんせい)、天宗に単刺し、首から肩甲骨周囲の動きを出せるようにストレッチも交えてマッサージを行った。
再度伏臥位に戻り、首肩まわりのマッサージ、頚部の牽引を兼ねた整体を行った。
施術後、後屈動作はスムーズになり首肩の筋緊張緩和は見られたものの、左側屈での背部の違和感が残る状態となったが、神経根周囲に刺激は入れており、ここから緩んできた時に痺れの変化を見るように伝えた。
2回目は前回後の変化として、筋緊張は和らいでいるが背部や上肢に放散される痺れや痛みは残存していた。
前回よりも神経根周囲に対する鍼による刺激量を増やし、頚部側面の神経根の出口により近い部分へのアプローチを行った。
施術後、左側屈時の違和感が変わらず。
2回目から一週間後の来院時、後屈に関しては問題なくできているが左後側屈での痺れ、違和感が不変。
頚部の神経根周囲は前回同様刺激し、頚椎の動きがよりスムーズになるよう、左右頚椎際の回旋筋や多裂筋の刺激を増やしたが、動作時に放散される違和感は残存。
骨棘が形成されてから数ヶ月以上経過していることもあり、ある一定の角度で神経根が絞扼され放散痛が出てしまっている状態で、それが触れてしまっている以上痺れが出ると考えられる。