女性 30代 会社員
症状:不眠症、首肩こり、腰痛
現病歴
もともと首肩こりはあったが、1年前に出産。産後から、夜途中で目が覚めるようになる。
病院で処方された睡眠薬を服用しているが、このまま続けるのはよくないと思い、鍼灸院を探しホームページを見て、勤務地に近いハリアップ丸ビル院に来院された。翌日が仕事だと、起きないといけないという気持ちから、さらに眠れなくなるので、薬を常用している状況。
鑑別診断
多夢。のぼせ症で尿量は少なく便秘がちだか、浮腫みがある。月経不順。耳鼻の症状は特にないので、耳鼻咽喉系の症状は睡眠に影響していないと考える。
子育て中ということもあり、常に緊張感もあるため、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできていないために自律神経バランスが乱れていることが原因と考えた。鍼治療が初めてなので、精神的にリラックスできるように治療を進めていく。
治療法
肩甲骨周りが硬く盛り上がっており、抱っこや授乳で肩も前側に出て前傾姿勢の影響は、背部や胸部の筋肉も収縮している状態。このため、呼吸も浅くなっていることも中途覚醒の原因のひとつと考えられる。
頚部の張り感、後頭部の詰まり感もあるため、中枢神経を刺激。浮腫みもあるが、尿量が少なく便秘にもなりやすいので、水分代謝も改善する必要がある。
百会(ひゃくえ)、瘂門(あもん)、風池(ふうち)、天窓(てんそう)、身柱(しんちゅう)、肝兪(かんゆ)、膏肓(こうこう)、命門(めいもん)、大腸兪(だいちょうゆ)、志室(ししつ)、上髎(じょうりょう)、次髎(じりょう)、曲池(きょくち)、陰陵泉(いんりょうせん)、三陰交(さんいんこう)に刺鍼。湧泉(ゆうせん)、失眠(しつみん)、老労(ろうきゅう)はしっかりめに指圧を。
治療後、呼吸がしやすくなり、まっすぐに挙げられなかった肩が、まっすぐ挙がるようになった。肩周りも筋肉の緊張がゆるみ「乗っかっていたものがとれた感じでスッキリしました」と話してくださいました。
5日後に、2回目の治療で来院。治療日は、ぐっすり眠れたのだけど、2~3日後にお子さんが発熱し看病されていたので、それから、また乱れが出始めたそう。
この日は、さらに肩甲骨周りの可動域を広げ、腰部や股関節にもアプローチをし、前回同様、自律神経を整える治療を行った。
9日後に3回目の治療。よく眠れるようになったようで、今までは睡眠薬を飲んでも起きることがあり、手放せなかったが服用する量を半分に減らしているそう。
仕事に育児と前傾姿勢になることは多いものの、治療を継続されていたので自然と胸がひらくようになって、以前とは全然違う、すごく息がしやすいと話してくださいました。もともと色白だが、皮膚のどす黒さが消えて血色も良くなっている。この日は、肩部前側、胸周りをさらにひらきやすくできるよう施術を行った。
経過観察を行いながら、薬の服用をなくしても熟睡できる状態を目指す。子育て中なので、疲れがとれやすい身体作りも行っていくことを共有。
瘀血の多い骨盤部、足首周りを冷やさないにように。また、肩が巻かないように意識してもらうことと、肩をひらくストレッチを気づいたときにするように伝えた。