20代 女性 主婦
症状:口元が上手く動かせない、右顔面神経麻痺(ベル麻痺)
発症:2021年8月
現病歴
産後1ヶ月程経った頃、朝起きたとき急に顔の動きが悪くなっていることを自覚し病院に行ったところ、顔面神経麻痺(ベル麻痺)と診断された。その後8日間入院してステロイド点滴による治療をしたものの、目元は動きが出るようになったが口元の動きに改善がみられず、入院中に治療できるところを探し、発症後10日でドクター・リウ鍼灸院 西新橋院に来院された。
鑑別診断
顔面部の痙攣はなく、片側性の表情筋の麻痺(口すぼめ、口角が上がらない)で、閉眼や額のシワ寄せ動作において左右差はあるものの動作はできている。
治療法
顔面部の血流改善、神経の賦活化を目的に、顔面部のマッサージをしたあと顔面神経の根幹である翳風(えいふう)、顔面神経走行上の顴髎(けんりょう)に刺鍼を。
続けて頚部から肩部にかけての血流改善を目的に、マッサージと鍼刺激を行い、最後に口の動きをより引き出すために顔面神経頬筋枝の走行でもある地倉(ちそう)、頬車(きょうしゃ)に鍼刺激を行った。出産後で体力が低下していることが考えられるため、ご家族とも協力して休憩する時間も必ず確保すること、自宅で行うマッサージのポイントを伝えてセルフケアの指導をした。
前回の治療後に口角の動きにおいて改善がみられ、口をゆすぐ際に水のこぼれが減少したことを実感。ごはんも食べやすくなったとのこと。
目の渇きを自覚されていたので、前回の口元の治療に加えて太陽(たいよう)、四白(しはく)への刺鍼を追加した。
3回目の治療で来院された際、口角の引き上げにおいて左右差はかなり改善し、口に含んだ水のこぼれる感じもほぼなく、家族からも右の麻痺側が分からなくなったと言われるまでに改善。
左右非対称もなく、表情筋の動きも問題なくできることが確認できたので、表情筋の運動やマッサージポイントを再度伝え、後遺症が残らないようにするためにも症状残存しているうちは治療を続けていくことを共有し、治療を終了。