女性 50代 会社員
症状:左膝の痛み、関節水症
現病歴
コロナで出社が減りリモートワーク中心の生活になり、ご家族の問題も浮上することに。膝痛で病院へ行ってはみたものの、痛みは改善されず。そのまま様子を見ていたら、痛みがさらに酷く身体の限界を感じ、久々にハリアップ丸ビル院に来院された。
来院されたとき、すでに足を引きずっている状態で、何も聞かなくても痛みで辛い状態であることはすぐにわかった。聞けば、左膝が腫れて水が溜まっている状態と話された。
鑑別診断
加齢や体重増加、使い過ぎにより関節を支えている軟骨が変性し、すり減ることが原因で起こる変形性膝関節症での関節軟骨損傷に伴う滑膜の炎症により、水が溜まったもの(関節水症)だと考えられる。
特に女性は、更年期にエストロゲンが減少することで、肩、手、指、膝など関節痛や腫れ、強張りが発症する方も多い。実際に、当該患者も、膝だけでなく指にも症状が出現している。
家庭の事情も抱え、ストレスと寝不足が更に症状を悪化させていると考えた。
治療法
慢性的な腰痛があり、骨盤周りが冷えている。久々の鍼治療になるので、まずは気血の巡りを改善させる必要があると考え、大椎(だいつい)、風池(ふうち)、心兪(しんゆ)、腎兪(じんゆ)、上髎(じょうりょう)、次髎(じりょう)、委中(いちゅう)、曲泉(きょくせん)に刺鍼を。
ストレスにより自律神経のバランスも崩れていることで、鈍くなっている五臓六腑の働きも調整する。復溜(ふくりゅう)、血海(けっかい)、陰陵泉(いんりょうせん)、内膝眼(ないしつがん)、外膝眼(がいしつがん)、関元(かんけん)、合谷(ごうこく)にも刺鍼し、赤外線で温めた。
後日、再来院され膝関節を確認すると、溜まった水がなくなり腫れもおさまったが、家の片付けを行う必要があり、腰痛が出現。相変わらず睡眠時間もとれていないので、自律神経を整えるため、この日は、脳神経疲労のコースで治療し経過観察とした。
生活指導
引越し等、理由によっては動く必要があるが、無理をすると炎症が酷くなり痛みも増強するので、なるべく痛みや熱感がある時は、安静にするようお伝えし、拘縮しないようなるべく温めてその場で動かしたり、伸ばすよう地味に続けていただくよう指導した。
睡眠不足で内臓機能も弱っているので、甘いものや刺激物を控え、温かい飲食をとって内臓を労わる生活を心がけるよう提案した。