女性 40代 会社員
症状:ぎっくり腰
発症:来院1日前
現病歴
来院される前日の朝、起きたときに下の物を取ろうとした際、腰に急激な痛みを感じた。その日に整形外科を受診し、急性腰痛と診断された。
湿布薬をもらって患部に貼っていたが痛みが改善しないので、ネット検索で調べてハリアップに来院された。
鑑別診断
整形外科でレントゲン写真を撮り、腰椎や椎間板には異常ないとのこと。足に痺れもなく足を触ったときの感覚麻痺もなし。
筋力低下もみられず、前屈時に骨盤の腸骨稜と腰骨のところの動作時痛、椅子から立ち上がるときに腰の痛みが生ずるので、急性の筋筋膜性腰痛症のいわゆるぎっくり腰と判断した。
治療法
うつ伏せになる動作が辛そうなので横向きになってもらい、首の後ろの天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、瘂門(あもん)穴をマッサージ整体して、少し緩んだところで単刺した。この場所は、脳脊髄液にアプローチしてドーパミンやセロトニンの分泌を高めることと脊柱起立筋で腰部と繋がっているために刺激し、腰部の筋緊張を緩めた。次に肩甲骨内側の膏肓(こうこう)穴に刺鍼を。ここは自律神経を整えるツボで精神的な疲れをとるための刺激。
次は腰骨の命門(めいもん)穴、股関節周りの環跳(かんちょう)穴に刺鍼し、臀部の筋緊張を緩和させた。腰骨の第4-5腰椎横の大腸兪(だいちょうゆ)穴、志室(ししつ)穴に刺鍼し5分間置鍼。抜鍼後、ふくらはぎの承山(しょうざん)穴に刺鍼し、全体的に軽くマッサージ整体をした。
反対向きになってもらい、同様の刺鍼。仰向けに寝返りして頂き、腰の痛みが改善されているのを患者さんと共有したあと、腰と表裏関係にあたる腹筋の緊張と腸の働きを良くするために腹部の天枢(てんすう)穴、大横(だいおう)穴に刺鍼する。最後に、膝を立てて内臓機能の調整と筋緊張を緩和するため、膝の外側下の腓骨頭の胆のう点穴に刺鍼した。
起き上がって前屈姿勢と椅子から立ち上がり動作をして頂き、来院時の痛みは軽減。痛みが再発するケースもあるので、翌日と明後日に来院、さらに一週間後も治療して動作時痛は消失。
生活指導
デスクワークで運動不足になりがちで、腹筋と背筋のバランスや臀筋と大腿四頭筋の筋力低下が腰痛を引き起こす要因になることをお伝えし、通勤途中はできるだけ大股で歩いたり、階段を使い筋力低下を防ぐように努めて頂くこと、腰痛予防のためお風呂に入った後はストレッチをして筋肉の柔軟性をつけることを提案。起床時はいきなり立たないで、布団の中で膝を立てて腰を捻る動作を何回かしてから起き上がること、発酵食品を意識して摂取し腸内環境を改善しセロトニンやドーパミンの分泌を促し、脳内に幸せホルモンを多くして自律神経の安定を図ると、筋肉の過緊張や腰の痛みなどの緩和に有効なことを説明した。