女性 50代 会社員(デスクワーク)
症状:左肩関節周囲炎
現病歴
受診の2ヶ月ほど前から左肩から二の腕にかけての痛み(重いものを持ち上げるとき、痛みで起きるほどの夜間の痛み)が強く出始め、現在は多少痛みは引いたが肩の可動域が低下し、髪を洗う動作、つり革を掴む動作が困難になっている。
痛めた当初に整形外科を受診し、肩関節周囲炎(五十肩)と診断され、リハビリにも通っているが思うような改善は見込めなかった。
ここ最近気付いた点として、お酒を飲む機会が多く、内臓の疲労が溜まっている気がすると話された。
鑑別診断
各可動域の制限、夜間痛、動作時痛、発症時期から肩関節周囲炎(五十肩)の拘縮期と判断した。
治療法
痛みに対するアプローチとして、頚部の天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、完骨(かんこつ)を使用し、鎮痛を促すホルモンを活性化させた。
お酒を飲む機会が多いとのことで背部の兪穴を触れていくと、肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ)、胃兪(いゆ)と僧帽筋、起立筋付近の張りが強く、内臓体制反射による夜間痛の可能性も鑑みて、該当の背部兪穴、腹部へのアプローチも行った。
腱板部の硬結も顕著だったため、局所にもアプローチ。結帯動作改善のための肘部へのマッサージ、刺鍼を行った。
上記の鍼治療を週1回、3回続けた結果、夜間痛が消失し眠れるようになり、肩関節の可動域も日常生活の支障が出ないまでに改善した。加えてお酒の量も制限したところ、体調が整い凝りや張りの自覚が少なくなった。
生活指導
これ以上の関節の拘縮を防ぐために、痛みのない範囲での運動、内臓からの影響もあったので、飲酒量の調整や食事のリズムの見直し(12時間以内に食事を完結させるなど)といった、運動器の観点と、内科的な観点からの指導を行った。