男性 40代 会社員
症状:突発性難聴、耳鳴り、不眠
現病歴
来院される1ヶ月前から突然左耳が聞こえなくなり、病院を受診し突発性難聴と診断される。難聴に加え、耳閉感と1日中続く耳鳴りに悩まされている。
病院でステロイド等の標準治療を受けたが症状は改善されず、治る見込みはないと言われたが、なんとか治したいとネットで検索し来院された。
鑑別診断
突発性難聴はある日突然誘因もなく片方の耳が聞こえなり、原因のわからない急激な難聴を総称しています。
過度のストレスや循環障害、内耳のウイルス、睡眠不足や過労が原因ではないかと推定されていますが原因不明なことが多い疾患。
簡易な聴覚検査をしたところ、左耳はほとんど聞こえていない状態で、耳鳴りは聴力の低下に伴い聴覚神経が過敏になっていると推測される。下腹部と足の冷えがあり、掌と足底を中心に汗をかいている。
腹診や問診等から、慢性疲労の蓄積と過度の緊張とストレスが関係している突発性難聴と判断した。
治療法
先ずは仰向けで、回復力を高め良質な睡眠がとれるように、自律神経を整える目的で、お腹のツボである中脘(ちゅうかん)・関元(かんげん)、頭の経穴百会(ひゃくえ)への鍼を。
難聴に効果のある翳風(えいふう)、聴宮(ちょうきゅう)へは置鍼し、その後耳周囲の緊張をとるマッサージを行う。
次にうつ伏せになり、頚・肩・背中・身体全体の緊張を緩め循環改善を目的に全身のマッサージを行った後、耳と頚部の循環改善のため天柱(てんちゅう)・風池(ふうち)、全身調整のため背中の兪穴に鍼を行った。
最後にもう一度仰向けになり、脳疲労にアプローチするため、頭部のマッサージを行った。
2回目の鍼治療は1週間後。
耳鳴りが鳴りっぱなしだったのが1回の鍼治療で、時々治まるようになったとのこと。治らないと諦めていらしたので、鍼治療をすることで改善の兆しが見えたことに希望をもたれた様子だった。
前回と同様にお腹、全身へのアプローチ、自律神経調整の鍼と耳周辺・頭部へのマッサージと鍼を行った。
3回目くらいから睡眠が改善し、8回目には左耳が右耳と比べて半分くらい聞こえるまでに聴力が改善。それに伴い、耳鳴りの頻度も音の大きさも変化してきている。性格上ストレスを溜めやすく自律神経のバランスに影響を及ぼすため、自律神経のバランスを整えるアプローチと耳へのアプローチを中心に初回同様の施術を行っている。
治療頻度は月に1回のペースで、現在も継続して来院中。
生活指導
ストレス発散と自律神経のバランスを整えるためにも、適度な運動を行うことをアドバイスした。