20代 女性 ショップ店員
症状:左顔面神経麻痺(ラムゼイハント症候群)
発症:2022年2月21日
現病歴
来院される1ヶ月前に頭痛、耳鳴りが出てきて、あまりの辛さに救急車を呼び病院に行ったところ、髄膜炎と診断されて2週間入院した。耳鳴りは入院期間中に寛解したが、顔面神経麻痺が左側に起こってしまい、改善しない。病院では帯状疱疹ウイルスが髄膜炎を引き起こし、それが耳に影響を及ぼし、そこから顔面神経麻痺が発症したと診断された。
入院期間中にステロイド点滴もしたが、麻痺が改善せず今に至り、問合せされ来院。
鑑別診断
帯状疱疹ウイルスによる発症と考えられるため、ラムゼイハント症候群の顔面神経麻痺と判断。閉眼、口角の引き上げ、口すぼめに左右差が顕著に見られた。
治療法
末梢神経に影響を及ぼしているウイルスに対して免疫機能増強、末梢神経の賦活化を目的に、鍼灸・マッサージにて治療をしていくことを説明。
仰臥位にて翳風(えいふう)、頬車(きょうしゃ)、下顎角の下方1寸のポイントに点灸、顔のマッサージを行った上で、翳風、顴髎(けんりょう)に置鍼。
抜鍼後、目の周りから頬にかけてマッサージし、地倉(横刺)、廉泉(れんせん)に置鍼を。仰向けの鍼を終えた時点で目の閉眼具合が改善してきた。
次に側臥位にて側頭部、首から肩にかけて血流改善を目的にマッサージし、完骨(かんこつ)、角孫(かくそん)に単刺を。
最後に仰臥位で下顎骨下縁部から目の周りをマッサージ、頚部のストレッチを入れて施術終了とした。
施術後、目の動き具合、鼻唇溝の右側に寄っていたのが真ん中に近くなり患者本人も違いを実感されていた。
末梢神経への刺激を与えるためにも最初の治療は継続して行うことの重要性を伝え、2日後に次回来院を指導。
2回目では、まだ表情筋の動きは乏しいが口角から頬にかけての筋収縮が見られるようになってきたことを確認し、末梢神経の賦活化を目的に治療を続けた。
3回目までは一週間間隔を空けない程度の頻度で治療を行い、それ以降は週一回のペースで治療を継続。
5回目の治療を終える頃には、口角の引き上げ、眉の挙上ができるようになってきて瞬きも自然とできるようになってきた。
接客業のため、マスクをしていても目元の動きが悪いと印象も悪く見えてしまうので、動きが出てきて表情が作れるようになってきたことですごく喜ばれていた。