女性 40代 会社員
症状：腰痛
現病歴
慢性的にずっと腰に違和感があったが、ここ2ヶ月ほど仕事が忙しく座っている時間が長くなったためか、椅子から立つ時に痛みがでるようになった。痛みは徐々に強くなっており寝ている体勢から起きる時も痛みが出ることがある。朝、顔を洗う際も少し屈むだけでも違和感が出ることもある。臀部や足にかけての痺れはない。
仕事が忙しく病院には行っていないが、家にあった湿布を貼り誤魔化している状態。2週間後に出張があるため、それまでにある程度治しておかないと新幹線から降りれなくなりそうだと心配されて来院された。
鑑別診断
前屈での可動域制限があり痛みはでるものの、後屈は痛みはない。臀部や足に痺れがないことから、筋・筋膜性の腰痛を疑う。座っている時間が長くなったことにより姿勢が悪くなってしまい、腰背部に負担がかかっている状態。首や肩の硬さも顕著。全体的に筋肉緊張を取りつつ、腰や股関節の動きを改善させる。
腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、仙腸関節に関する検査は全て陰性。
治療法
首や肩の阿是穴に単刺をし、その後、上大椎（かみだいつい）、膏肓（こうこう）、神道（しんどう）に刺鍼。ストレスなどの反応が出やすい膏肓に置鍼をした。腰は腰方形筋などの硬さが強かったため筋肉の付着部などを緩めた。腰痛において股関節周りや臀部のアプローチも重要であるため、股関節周りや中殿筋にも刺鍼を。硬結のある環跳（かんちょう）に置鍼した。
仕事柄、座っている姿勢が多いことから、お腹が縮こまり内臓などを圧迫していると考え、腹部もマッサージと気になる部位に単刺をした。最後に臀部、大腿部のストレッチを行い、下肢全体の血流を良くし施術終了。
出張前に3回来院され、3回目の治療終了後には起きる時や屈む時などの痛みは消失。長時間座っているとたまに違和感はでるが、すっと立てるようになった。
出張に行く日の朝に中殿筋と大腿部の筋肉を伸ばしてから動くこと、新幹線内では腰が丸まらないように腰の部分にペットボトルか丸めたタオルを入れて座ることを勧めた。
