女性 30代 会社員
症状:左手の痛み
現病歴
来院される2日前から起床時に左手の薬指にこわばりと痛み。病院には行かず、薬なども服用していない。ストレッチや温めるなどして生活し、少し軽減はされてきているが、なかなか改善されず。
現在はコロナの影響でリモートワークが中心であり、パソコン作業で薬指や小指で長時間タイピングする癖がある。8年前にも同じような症状で痛みがあり、整形外科で診察を受けたところ、ばね指と診断された。その際、1ヶ月間のリハビリ生活で完治した。今回はそこまで酷くはないが、同じ痛みにならないよう早い段階で治し、1ヶ月後のゴルフラウンドまでになんとかしたいと来院された。
鑑別診断
左手掌側、第4中手骨頭部の痛み。指の屈曲の痛みとそこから戻しづらさ、起床時のこわばり。熱感、腫脹はない。押して曲げたり、入浴など温めたり、ストレッチをすると楽になる。タイピングも多いため前腕屈筋群の緊張も顕著。パソコン作業の労作性によるものが影響している腱鞘炎と考えた。
治療法
痛み軽減と血流改善を目的に治療を行うことを説明。
まず、リモートワークで筋緊張の強い首肩の天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、肩井(けんせい)、上大椎(かみだいつい)、背部の膏肓(こうこう)、腰部の志室(ししつ)に刺鍼し、首肩の血流促進を。
次に仰臥位で、自律神経の調整を目的に腹部の天枢(てんすう)や中脘(ちゅうかん)に刺鍼と頭部・後頚部のマッサージをし、最後に手掌側の血流改善を目的に、肘の曲池(きょくち)や前腕屈筋群の緊張部分、手の合谷(ごうこく)や第4指の中渚(ちゅうしょ)、第5指の後渓(こうけい)から患部に向かって刺鍼した。
治療後は曲げた時の痛みや戻しづらさが改善し、緊張感も軽減した。
その後2~3日に1回の治療から徐々に間隔をあけながら継続し、起床時のこわばりや仕事中の痛みが軽減。最終的に痛みなくゴルフのラウンドをまわることができた。現在は再発防止もかねて、定期的に治療を継続されている。
生活指導
入浴時のグーパー運動、指を伸ばすストレッチを指導した。