男性 50代 建設業
症状:更年期障害、関節痛、めまい
現病歴
坐骨神経痛が発症し、奥様のご紹介で丸ビル院に来院されたのがきっかけで通院されている。初めての来院時、腰を押さえて辛そうなお顔で片足を引きずりながら歩かれ、お着替えもままならず、ベッドにあがることも大変な様子だった。
現在は、坐骨神経痛による痛み、痺れはなくなり、慢性的な腰背部痛、肩痛、関節痛、たまにめまいがする等、時期により症状が変化するようになり、年齢的な不調が重なるようになったため全身治療を希望され、ハリアップに来院された。
鑑別診断
若い頃は、痛みなんて寝れば翌日には治っていたけど、もうすぐ還暦だからと、髪も薄くなって、たまにふらつくこともあるんだよ。というお話しからも、以前は感じなかった痛みや症状が次々にでている状態。仕事は、内勤外勤と常に忙しくされており、早朝の仕事後、仮眠をとり夜まで仕事。昼夜関係なく働かれている様子で自律神経バランスの乱れも関係している。
過労が不調の一番の原因ではあるが、坐骨神経痛の痛みが改善された後も、肩関節痛、腰背部痛、疲れがとれない、集中力が低下する等、年齢からみてもホルモンバランスの乱れによる更年期の症状がでていると考えられる。
治療法
男性ホルモン(テストステロン)は、筋肉や骨の量を増やしたり、臓器機能の維持、炎症をおさえ、血管をしなやかに保つ、脳を活性化する働きがある。ホルモンが減少しているということは、中枢神経のバランスをと整え、心因的な要素も考慮し、内臓の状態も改善する治療を行う必要があると考えられる。
脳脊髄液の調整・自律神経バランスの調整を主として、頚部から手技で筋緊張を緩和させながら、大椎(だいつい)、風池(ふうち)、翳風(えいふう)、天窓(てんそう)、曲池(きょくち)、内関(ないかん)、心兪(しんゆ)、肝兪(かんゆ)、腎兪(じんゆ)、陽陵泉(ようりょうせん)、陰陵泉(いんりょうせん)、承山(しょうざん)、復溜(ふくりゅう)に刺鍼した。
内臓の反射区でもある足裏も刺激し、最後は、腹部の天枢(てんすう)、関元(かんげん)を赤外線で温めながら刺鍼を。副交感神経優位を促すため頭部も軽く指圧し、施術終了とした。
生活指導
お酒の好きな方なので、飲み過ぎないように。早朝からの仕事もあるので、飲酒による冷えに気をつけること。日中は汗をかいたあとも冷えないように、しっかりタオルで汗を吸収すること。
好きな音楽を聴いたり、趣味の時間をとってリラックスできる時間をつくることも仕事を続けていくうえで大切なことなので、忙しくても、ホッと安らげる時間の確保とリラックスできることを継続してほしいと伝えた。
更年期って女性特有なのでは?と質問されることも多いのですが、更年期は男性にもあります。頭痛、頻尿、異常な発汗、動悸、めまい、疲れやすい、腰背部痛、不眠、不安感、勃起力低下、体毛が薄くなる、集中力、記憶力低下、イライラ等、症状には個人差があります。
男性、女性ともに、ホルモンは20代をピークに減少するのですが、女性の場合は、40歳くらいから閉経後5年ほどで、様々な症状が落ち着いてくると言われています。男性の場合は、40歳から90歳頃までと幅広いうえ、自覚しにくく個人差も大きいので、ご自身でも気づかないまま不調を抱えて生活されている方も多いと思います。
どうせ歳だからと諦めず、ご相談ください。