女性 60代 主婦
症状:急性腰痛
現病歴
慢性腰痛のある既存の患者。3年前にご家族のご紹介で初めて来院され、それまでは年に3~4回ぎっくり腰を繰り返していたのが、回数は減って今は痛くなった時に来院されている。
今朝、トイレで立ち上がろうとしたところ痛めてしまったようで、前屈みになるとお尻の中心が痛く、立ったり座ったりする動作で「ずきっ」という痛みがあり辛い。ズボンを上げる動作や靴下を履く動作もできない状態で来院された。
鑑別診断
圧迫骨折は検査で除外、問診からも筋筋膜性のぎっくり腰と判断。
急性腰痛(ぎっくり腰)は筋肉の疲労、身体が硬い、運動不足による腰の筋力低下などが原因で起こること、普段の運動不足による筋力の低下と反り腰(24個の背骨のS字カーブのうち腰椎の前弯が強くなる状態)もあることを説明。今回は背中の筋肉の疲労とインナーの腸腰筋の縮こまりが原因と判断した。
治療法
まずは、痛みによる交感神経の興奮を抑えるために頚部のツボ、天柱(てんちゅう)に刺鍼し、その後に腰部にあるツボ、志室(ししつ)周辺にも単刺で鍼を行う。
内部に炎症があることを想定し患部のマッサージは控え、腰の負担を軽減させる目的で脊柱起立筋、臀部、ハムストリングなどに押圧刺激を行い、最後に腰部の抵抗運動を行った。
治療後、痛みは軽減したものの半分以上残っている状態を共有し、次回はあまり間隔を空けずに治療することを提案。
3日後に再来院され、前回治療後、翌朝に痛みが軽減していたことを確認した。前屈みになる動作、靴下を履く動作はまだ困難な状態。
前回は痛みが強く、どこが痛いか分からないくらいだったのが、今回は右側のお尻が痛いとはっきり示された。
炎症は大おさまっている状態と判断し、背部の硬くなり痛みを引き起こしている志室周辺の筋肉に対して鍼を行った。
その後、脊柱起立筋、臀部の筋肉、大腿部の筋肉、インナーである大腰筋に鍼とマッサージを行い、最後に腰部の抵抗運動を行い状態を確認した。
生活指導
1回目は炎症があったため。炎症を助長させるお風呂と飲酒を控えるようにアドバイス。
2回目は慢性腰痛、ぎっくり腰の根本原因が骨盤の前傾、腰椎の過前弯にあること、それには足首や股関節の硬さなども関係していることを説明し、股関節のストレッチと足首の柔軟性を高める運動をアドバイスした。