女性 10代 学生
症状:肩こり
現病歴
受験生で朝から晩まで一日中勉強をしていることが多く、慢性的に首から肩にかけてのこりや眼精疲労を感じている。また、疲れてくると勉強に集中できなくなってくる。
8ヶ月後の受験に向けてしっかり体調管理したいと話された。
以前は整体に行き身体を整えていたが、診てもらっていた先生が辞めてしまい、治療できる所はないかと探していたところ、母親が当院を見つけ来院された。治療は受け慣れていることもあり、しっかり治療してくれるのか最初は不安があった様子がうかがえた。
鑑別診断
痛みや痺れはなく、動作でも特に変化はないが、勉強していると段々姿勢が悪くなり、首から肩にかけて何かが乗っているように重く感じる。少し休憩して首肩のストレッチなどをすると少し楽になる。
また、お風呂で温まって血流が良くなった後も少し楽になるとのこと。
姿勢不良により、頭の重みを支える首肩や肩甲骨周りの筋肉の緊張が強くなり、血流も悪くなることで首から肩にかけてのこりや重だるさが出ていると考える。
また、時々お腹の張りを感じたり寝つきが悪いこともある。これも姿勢不良によりお腹が圧迫され血流が悪くなり、内臓の働きが落ち、お腹の張りを感じている可能性が考えられる。
さらに、内臓の働きが落ちていることに加えて、首肩のこりで脳脊髄液の流れが悪くなっており、自律神経にも影響が出ている可能性が考えられる。
治療法
辛さのある首肩から肩甲骨周りの筋肉の緊張緩和、血流改善。また、自律神経の調整を目的にお腹と頭のアプローチを行うことを説明し治療を開始した。
最初は患者に不安感があったので、しっかり話を聞いてコミュニケーションを取りながら、力加減や刺激量など確認しながら治療を。
伏臥位で全体的にマッサージしてから首肩から肩甲骨にかけての筋肉の緊張緩和、血流改善、脳脊髄液の循環改善のために瘂門(あもん)、大椎(だいつい)、身柱(しんちゅう)、神道(しんどう)、頚部から肩甲骨周り、阿是穴に刺鍼した。患者は鍼のズーンと響く感じが気持ちよく、血流が良くなった気がすると話してくれたので、筋肉の緊張が緩和され血流が改善されていることを伝え、より効果を高めるために、眼精疲労にも関係しており反応の強かった風池に置鍼を。
背中から腰にかけての筋肉も首肩と繋がっており、胃腸などお腹と表裏関係にあるため、腰部の志室(ししつ)、大腸兪(だいちょうゆ)、阿是穴に刺鍼した。
全身調整のために合谷(ごうこく)、承山(しょうざん)、飛揚(ひよう)に刺鍼し、再度、全体的にマッサージを。一度起き上がってもらい状態を確認すると、首肩が楽になり、リラックスできていると話され、しっかり筋肉の緊張が緩和され血流が良くなり、身体の力が抜けるようになってきていることを説明し、続けて側臥位で治療を。
前頚部の筋肉の緊張緩和、血流改善のために完骨(かんこつ)、天鼎(てんてい)に刺鍼し、全体的にマッサージをした後、反対側も同様に施術。
仰臥位で自律神経調整のためにお腹のマッサージをし、反応の強かった中脘(ちゅうかん)、天枢(てんすう)に刺鍼を。最後は、眼精疲労改善のために目の周りのマッサージに、自律神経調整のために水牛鍼やマッサージで頭へのアプローチと首肩のストレッチをして循環改善を促した。
施術後はかなり身体が軽くなり、寝てしまうくらいリラックスできたと話してくださった。
生活指導
これからも受験勉強は続くので、しっかり集中して取り組めるよう月1~2回の来院指導。また、勉強の途中で1時間に1回程度は休憩をして身体を動かし、血流を良くするようアドバイス。
目にホットタオルを当てることで血流改善になり、目を閉じ休めることで眼精疲労改善に繋がることを伝えた。
2回目以降は約3週間に1回のペースで来院され、首肩から肩甲骨周りの筋肉の緊張緩和、血流改善、自律神経の調整を中心に治療を行っている。