女性 40代 会社員
症状:肩こり、顎関節症
現病歴
食べ物を噛んだりしなくても、常に顎周りが痛む。口が開かない状態で、痛みで目が覚めてしまう。首肩の張りが顕著で肩甲骨下あたりが痛く、慢性的な首肩こりがある。
頭痛やめまいもでることがあり、仕事に集中できないこともしばしばあり、痛みが辛いと同僚に話していたときにハリアップ丸ビル院を紹介され、予約を入れられた。
鑑別診断
顎関節は、頭蓋骨の側頭筋と下顎の骨をつなぐ関節で、左右、耳の前に位置している。顎関節痛は、三叉神経、頚椎神経、迷走神経が関与しており、顎の痛み、開閉困難、ガク、ゴリ、と関節音がする。
原因は、歯ぎしり、食いしばり、噛み合わせの悪さ、外傷、ストレスやホルモンバランスの乱れ、スポーツ、演奏によるものなど様々で、口を開けられず、顎の痛みが続くケースが多い。食いしばりも自覚しているため、顎関節症で痛みが続いている状態と考えた。仕事で大きな案件を抱えていて緊張が続いており、ストレスがたまり、顎の痛みで熟睡できていないことが、悪化した原因だと考えられる。
治療法
仕事による疲れと怠さもでており、身体に力もないので、まずは、身体の症状改善を目的に治療した。照海(しょうかい)、心兪(しんゆ)、肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ)、腎兪(じんゆ)、命門(めいもん)、大椎(だいつい)、身柱(しんちゅう)、風池(ふうち)に刺鍼し、骨盤部を温めながら、涌泉(ゆうせん)を指圧。
イライラが続いたり、火照り感がでることもあり、動悸を感じることから、更年期の症状が出ていないか確認したところ、自覚症状があることを共有した。
頭を酷使していることもあるが、頭部の熱感もあり、曲池(きょくち)、内関(ないかん)、血海(けっかい)、陰陵泉(いんりょうせん)、陽陵泉(ようりょうせん)、三陰交(さんいんこう)、手足に刺鍼。
その後、仰向けになってもらい、百会(ひゃくえ)、天突(てんとつ)、関元(かんげん)に刺鍼。膻中(だんちゅう)、労宮(ろうきゅう)を指圧。顎周り、頚部も熱感があり腫れているため、局所はあまり触れず、遠方のツボを使い治療を施した。
頚部から鎖骨周りの循環も滞っていたので、後日、腫れと痛みが消失していることを確認し、希望の美容鍼コースで翡翠ローラーを使い、溜まった老廃物を流し毛細血管・リンパの流れを促した。歯ぎしりで硬くなっていた顎周りも緩み、見た目も腫れてもたついていた顎周りがすっきりしたと実感されていた。
仕事がお忙しいことに変わりはないので、体の状態を確認しながらコースを判断し、治療を継続されている。
生活指導
熱感がおさまり痛みがひいてきたら、ご自身でもできる抵抗運動を行うようアドバイス。顎関節症の患者には上下歯列接触癖がある方も多いので、歯の接触に気をつけていただくこと、頬杖、片側で噛み続けることがないよう、生活習慣の改善ポイントをお話しした。
歯ぎしり等、日々の生活の中で気づかないうちに繰り返していたり、様々な要因で顎関節症になるケースは多いが、顎関節症から頭痛や肩こりの悪化、腕に痺れが出てきたり、耳への違和感や、詰まった感じがでてくることもあるので、早めの受診を促した。