女性 40代 専業主婦
症状:不眠
現病歴
来院する3週間前から2~3時間しか寝られない状態が続き、日中の疲労感やだるさが抜けなかった。
3ヶ月前にコロナに罹患。生活リズムが乱れた影響からか、睡眠の質が悪くなっていたこともあり、もともと楽観的な性格だったが、不安感や緊張感が一気に押し寄せるなど、自律神経の不調を感じ不眠から今まで感じたことない状態に陥るようになり、この状態をなんとかしたいと来院された。
徐々に睡眠の質の低下を感じていたが、3週間前から急に寝られなくなり、寝ても意識が薄らあるような浅い眠りになった。日中にリラックスするために散歩や友達とカフェに行ったりして気を紛らわしている。
来院前日に心療内科で睡眠導入剤を処方され、飲み始めてみたが新しい薬をはじめることへの緊張感もあって、なかなか寝つけなかったこと。昨年から更年期症状を感じており、疲れやすかったり口が乾いたりすることを話してくださった。
鑑別診断
常に便秘しやすく、酸化マグネシウムを服用している。
疼痛などでの不眠ではなく、睡眠時無呼吸症候群などもない。
うつ病などの既往もないことから、自律神経の乱れで睡眠リズムが狂っていることが考えられるため、そのメカニズムを修復させる目的で治療を開始した。
治療法
気温の変化や湿度の影響で、胃腸への疲労や自律神経に大きく影響がでている。全身に力が入っている状態の緊張状態で、交感神経優位になっていることがわかる。
まず、伏臥位にて背部全体のマッサージ後に百会(ひゃくえ)、天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、完骨(かんこつ)、頚部の阿是穴、上大椎(かみだいつい)、膏肓(こうこう)に刺鍼し、上大椎に5分置鍼した。
次に仰臥位にて、自律神経バランスの調整のため、腹部の天枢(てんすう)、中脘(ちゅうかん)、水分(すいぶん)、関元(かんげん)、内臓全体の働き、主に消化器系の働きを促進させるため、顔のツボにも刺鍼し頬車(きょうしゃ)に5分置鍼を。
施術後、体はスッキリしていてボーッとするとのことで、副交感神経優位になっていることを説明。
また、自覚されている体の疲れだけでなく、お腹の硬さもあり症状改善のためには自律神経バランスを整えていくことが大事なことを伝え、現在も1週間に1回の頻度で来院されている。
初回から5日後の2回目の来院時は、睡眠導入剤も続けているので何が効いたか分からないが、前回より睡眠の質は良くなったとのことだった。前回の治療を引き続き行い、精神的ストレスが頭皮の硬さに出ていたので、首肩周りの刺鍼を長めに行った。
施術後、触診で首肩周りの筋肉の緩みが確認できたが、まだお腹の硬さはかなり強く、新しい薬を飲み始めた影響も考えられる。
その後も自律神経根幹部の腸の状態を良い状態にしていくことと、自律神経の調整を主に行うことを継続し、不眠は改善傾向。
日中のだるさや眠気なども減っていて、明らかに変化は実感して頂いている状態のため、引き続きビフィズス菌サプリのベイビーフローラも摂取してもらい、良い状態が継続できるよう、定期的な来院の必要性を説明した。