女性 40代 会社員
症状:肩こり
現病歴
1週間ほど前から右の肩甲骨上縁から内側が痛い。寝違えなど特に原因は思いつかない様子で来院。来院される前日まで1ヶ月ほど仕事が忙しく、ストレスも多い状況だった。2週間前からはお腹の調子が悪く、下しがちで常に張っている。
3日前には重たいリュックを背負い、両手に荷物を持った際、さらに悪化した感覚がある。来院前日は睡眠中に嘔吐をする寸前のような、胃液が上がってくる感覚で一度起きてしまったそう。
安静にした状態でも肩は痛く、睡眠が浅い状態が続いている。
このような症状になるのは初めてで、不安が強くなり職場から近いハリアップ六本木ヒルズ院に2年ぶりに来院された。
鑑別診断
頚部、肩関節の可動域制限はなし。痺れはなく、筋力や感覚の低下もなし。
右側の上大椎、膏肓に硬結。腹部に関しては反跳痛(−)、下痢時も含め腹痛はなし。
ホッカイロで腹部、腰部を温めることで肩の痛みも軽減する。
上記より、内臓体勢反射による肩こりと判断し、自律神経調整を目的に肩周りに加えて腹部と頭部の治療も行うことを説明した。
治療法
伏臥位で上半身を指圧マッサージ後、筋緊張緩和と内臓へのアプローチを目的に天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、完骨(かんこつ)、大椎(だいつい)、身柱(しんちゅう)、神道(しんどう)、上大椎(かみだいつい)、膏肓(こうこう)、志室(ししつ)に刺鍼後、硬結が顕著だった右側の上大椎と膏肓に置鍼を。その後、再度マッサージを行った。
次に、腹部の緊張緩和と自律神経へのアプローチを目的に仰臥位で腹部をマッサージ後、中脘(ちゅうかん)、水分(すいぶん)、大横(だいおう)、腹結(ふっけつ)、関元(かんげん)に刺鍼、水分と右側の大横に置鍼。
百会(ひゃくえ)、四神総を中心に頭部のマッサージを行った。
施術後は腹部の張りが軽減することに伴い、肩の痛みも減ったことを実感されていた。
肩甲骨周囲の硬結も緩和したことを共有し、不安な気持ちが落ち着いたことも喜ばれていた。
生活指導
引き続き腹部と腰部の温めを行うこと、腹部のマッサージを伝えた。
肩こりに加えて、自律神経調整のためには継続した治療が効果的なことを伝え、1週間に一度のペースでの来院を指導した。
睡眠の質を上げるため、、睡眠前に酷使している目を温めることで目や脳への血流を促進させるように説明。
ストレスを感じやすい状況なので、ビフィズス菌を腸内に取り入れることで腸内環境を整え、自律神経やホルモンバランスを調整し、少しでも睡眠の質を高められるよう提案した。